はしもとみお木彫展
いきものたちとの旅
2025.09.06
栃木県立 館林美術館で開催中の「はしもとみお木彫展 いきものたちとの旅」に行ってきました。その観察力と表現力、そしてそのなかにこめられた思いが
伝わってきて大感動でした。
出かけたのは先週の土曜日だったのですが、入場者がとて多くて開館時間を30分過ぎる頃には駐車場がいっぱいになってしまうほどでした。
(会期 7.19~9.23 入館 830円)
特設会場に置かれた巨大な「丹波竜」、体長7mの木彫で上を歩くこともできます。
こちらの作品展は撮影はすべて可、しかも🐾(足跡)マークのある作品は触れることも可です。
木彫だけど触れあえるっていうこと。
こちらが最初のパートで、この机を中心にたくさんの動物たちが配置されています。
猫が乗った「銀河鉄道の夜」をモチーフにした作品。
月とウサギたち。
なんとも夢のある空間です。
右手には2Fに続く階段があって、犬や猫が座っている。
壁には動物たちのレリーフ。
耳を立て、何かを見ている。
目が生きている。
すごいリアル。このまま博物館にも展示できます。
自分をにらんでいる。
ネズミとオランウータンは仲良し。
何かに怒っている。
背伸びして何を見ているんだろう?
単にリアルと言うだけでなく、動物たちの表情さえ写し取ってしまう、はしもとさんの観察力と表現力はすごすぎる。一見の価値があります。
複数の動物を組み合わせた情景的な作品も多数ありました。
自分も下手な情景作家の端くれなので、ここは興味津々です。
天井からテグスで吊り下げられた海獣やお魚たち、優雅でゆったりとした泳ぎを感じます。
何か自分が海の底にいて、彼らをじっと見上げているような錯覚を起こしそうです。
犬や猫がお昼寝しているテントに、とても小さな動物たち(木彫の動物ミニチュア)が集団で集まってくる。
「ノアの箱舟」ですね。
正面に月と思われる天体があって、そのまわりに動物たちのいる星がたくさんちりばめられている。それらはすべて地球から見える星だと自分は思いました。
そしてこの部屋の傍らには旧ソビエトの人工衛星スプートニク2号に乗せられた「ライカ」と、そのほか4頭の宇宙犬の木彫があります。
なんでここで旧ソビエトの人工衛星なのか、話がつながらなくなるので、ここで少々解説を加えます。
1957年、旧ソビエトが世界初の人工衛星スプートニク1号の打ち上げに成功した。それは宇宙開発においてアメリカを追い越したことを意味し、「スプートニクショック」
というアメリカ社会への衝撃が走った。
当時アメリカと旧ソビエトはあらゆる分野で競争をしていた時代でした。特にそれは核開発や宇宙開発において熾烈でした。
次に旧ソビエトは有人衛星の打ち上げを目指す。但しそれは簡単なことではなく、危険も伴うため、次のスプートニク2号では試験的にメスの犬「ライカ」が乗せられる
ことになった。
結果ライカは地球軌道を周回した最初の動物で、世界で最初の宇宙飛行士としての称号を与えられることになる。しかしライカは地球に戻ることはなく、スプートニク
2号はライカの棺となった。
その後も有人衛星打ち上げのための実験は続き、なかには無事に帰還する犬やその他の動物たちもいて、彼らは英雄として称えられることとなった。
そして彼らに続き、旧ソビエトは初の有人人工衛星ボストーク1号の打ち上げに成功する。
地球は青かった ( ユーリ ガガーリン 1961年 )
その後、アメリカがこの分野で旧ソビエトを追い越すのは、1969年のアポロ11号による月面着陸を待つことになる。
夜空に輝く星一つ一つに、動物たちの魂が宿っている。きっとそんなイメージなんだろうな。
悲しく、美しい。
はしもとみおさんの最初の芸術活動は「おともだち」にあてた絵手紙だったという。
たとえば上の絵手紙には、このような一言が添えられています。
何もしてあげれれない
今なら、なんだってできる
15歳の時に阪神淡路大震災に遭遇して自宅が全壊、一緒に生活していたペットたちが犠牲になった。
それまで獣医を目指していたのだが、それを機に「動物の命」をテーマにする芸術家になることを決意したそうです。
きっと夜空に輝く星のなかに、分かれてしまった「おともだち」の姿を今も見ているんだろうと思います。
そう思ったら、少し胸が熱くなりました。
2025.09
camera: Canon G9X Mk.2 / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 3.0
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