eye4工房番外編
hand bomb
war & peace
<ちょっと危ないフィギュア>
手榴弾のピンを抜いている、ちょっと危ない感じの少女のフィギュアを見つけて作った作品です。
スケールは1/24、大きさは幅12cm、奥行き43cmです。




ハンマーを手にした女性戦士、その背後の階段上には、「PEACE」「WAR」の表札の掲げられた2つのドアがある。

通路の端にはそれらを背にした一人の少女がいて、今まさに手榴弾のピンを抜こうとしている。
前回の実験的な作品「ESCAPE」では動的な恐怖を、そして今度は真逆の、静的な恐怖の表現にチャレンジしてみたというわけです。
でもやっぱりこういう抽象的な表現というのは難しい。
<フィギュアの組み立て 1 >
さてシーンはまだ思い浮かんでないけど、そのフィギュア自体が面白いので、作品化したいというものがあります。

こちらがその販売サイトの画像です、少女が手榴弾のピンを引いて俯く。
この静かな恐怖が心に刺さった。このフィギュアを生かす背景をつくるのは自分の役目かなと思いました

それがこちらです。格安なので3Dプリンターでプリントされたままで、まだランナーがついている。
1/24スケールで642円というのは、一般的な1/64のフィギュアとほとんど同じ値段なので、どれだけ安きかがお分かりいただけると思う。
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1 台座から慎重ににフィギュアのパーツを切り出し
てゆきます。 |
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これだけ安いのは、ずばり3Dプリンターから外されたばかりの状態で、ランナーがしっかりとついているというのが最大の理由です。パーツがきれいに取り出された
ものなら、1500円ぐらいはすると思う。
この手のものは、細心の注意を払ってパーツを切り出すのが、最初の高いハードルになります。
まずはよく切れるニッパーなどで各パーツごと台座を切り離す。ここは難易度Cレベルかな。
ここで、完成画像を見ながら、どこからどこまでがパーツで、どこからがランナーなのかを確認します。マジックなどで印をつけるのが良いでしょう。さもないと誤って
パーツを切断することもある。
ちなみに3Dプリンターのフィギュアは少量生産なので、すぐに売り切れや販売中止になってしまい、完成画像が見られなくなることもあるので、注文したら必ず画像は
保存しておきます。
あとは破損に注意しながら台座を切り離し、少しずつランナーを取り除いてゆく。材質が結構もろいので神経を使います。難易度はBです。
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2 切り出しで破損した箇所、不自然なパーツの形状を
修正します。 |
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ここが最大の問題なのですが、このキットの場合には「ランナーよりもパーツの方が細い」という、極めて困難なところがある。ランナーを遠いところで切断してデザイン
ナイフで削ったりするけれど、失敗なしに切り出すのはかなり難しい。もちろん難易度Aクラスです。
失敗は多い。
あまりに細かくて切り出しを断念した箇所1,折損2、パーツの紛失1です。
たとえば手榴弾から引き抜いた安全ピンは太さ0.3mmぐらいしかなく、ランナーよりもずっと細い。触っただけで折れてしまう。よって引き延ばしたランナーに置き換え、
左手の小指も気づいたらランナーと一緒に消えてなくなっていた。これはエポキシパテで作り直し。
きっと「642円でなく、1500円で良いからちゃんとランナーから外してください」と叫ぶ人は多いと思う。
きれいにパーツを切り離すには、間違いなく超音波カッターが必要だろうな。(高いので自分は持っていない)
あとはキットの修正をします。ランナーのついていたところには細かな起伏が残っているので、まずは丁寧に削る。
お尻が平らだったので、削って形状を整えます。
太ももの間はデータが不足しているのか、つながっていたので切り離して磨きます。

あとは細かなところに手を入れた。穴を開けて真鍮線を固定した。
やっとスタート地点という感じです。
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3 いつものとおり、肌の部分から塗装を始めます。
ヘアーは普通だとつまらないので派手な感じにする。 |
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フィギュアは基本的にポーズはそのまま。
いつものように塗装は肌から始めるます。Mr.カラーのNo.111を基本色として塗った後、人間用のチークを使い、模型用の細めの綿棒を使い色をつけてゆきます。
1回ではうっすらと色がのるだけなので、何度となく GX113 を吹き付けて色を重ねてゆきます。
こういうシチュエーションなので、普通におとなしくメイクしていたのではつまらない。
ヘアーを紫から青で塗装し、更に少々きつめのメイクを施す。通常のチークでは色不足なので、ここはパステルをカッターで削って綿棒にとり、これをフィギュアに
こすりつけてゆきます。
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4 服の方も塗装します。こちらは迷彩をベースに
仕上げます。 |
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今回は迷彩仕上げを基本にしようと考えています。迷彩で仕上げることによって、個人的な行動というのでなく、軍隊、あるいは組織的な行動の一環というニュアンスが
強まる。
着色はすべてMr.カラー、基本的には明るい色から順次、暗い色をのせてゆきます。
最後は質感を整える。衣類はざらっとした質感に仕上げたいので、GX113にMr.カラーのNo.118フラットベースあらめ・ラフを混ぜたものを吹き付けて仕上げます。ビニル
レザーあたりは半つや消しといった感じです。
「危ない感じ」が出てきたかな?
最後はルーペで拡大してみて、メイクの調整を行います。
今回はチャコールグレーとダークブラウンのパステルを削り、Mr.カラーの薄め液を染みこませた極細筆にとって細部に塗っています。これなら失敗しても爪楊枝の先などで
簡単に落とすことができます。これを定着させるにはGX114が良い。
<脇役を作ります>
主役はもう少しで完成なのだけど、登場するシーンについても大筋固まってきた。もう一体フィギュアを追加して、更に怖さを演出するつもりです。

こちらはおそらくバッドマンシリーズを演出したフィギュアで、3体1500円ぐらいのものだったと記憶しますが(Aliexpress)、詳しいことは忘れてしまいました。
とりあえずがっちりとした筋肉質という体つきがイメージに合う。
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5 こちらも肌の部分から塗装を始めます。但しポーズ
は少し変えます。
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フィギュアは基本的にポーズはそのままで作業をしていたのですが、極めて危ない感じの主役に比べると、少々緊張感が足りないので、少し手を加えて戦闘態勢を
整えさせることにしました。
戦闘態勢でハイヒールはあり得ない、いったん足首から下をカットして加工し、ショートブーツに改めます。
そしてジャンクボックスから拾い上げたプラパーツとエポキシパテでハンマーを作る。このハンマーを持つことができるように、交差させていた両腕を取り外し、左手は
腰に、右手はハンマーをつかんでいる感じに加工します。
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6 こちらも迷彩をベースにして着色する。これで
「同じ仲間」という感じになる。 |
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<背景の制作>
今年の夏、MOZUさんの作品展に行って、作品の見せ方という意味では大変勉強になりました。

たまたまTEMUで素材を眺めていたら、MOZUさんの作品の背景に近い、こんなものを見つけました。(790円)
3Dプリンターで作られたドアと階段のセットです。組み合わせたら面白いものができそうだと飛びつきました。
ただできとしてはあまり良いものではなくて、直角が出ていないし、スケール的にも、ドアが1/24フィギュアの身長に足りないという中途半端なものだった。
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7 市販品のドアを組み直して、背景にふさわしい形に
再構築します。 |
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木材で各パーツをつないで塗装を行います。秘密兵器は光陽オリエントジャパンの「 真・黒色無双」という水性アクリル塗料です。( 100ml、2545円)
一般的な黒色アクリル塗料の可視光域の光吸収率が94~98%であるのに対し、こちらは99.4%だそうで、見かけは完全につやの消えた黒、たとえて言うなら
燻したときの煤汚れみたいな感じです。
ちなみに光の吸収率が100%なら、光は反射せず物体として見ることはできない。星のない夜空みたいなもので、そういう物体は物理学的に存在しません。
これを通路とドアに吹き付ける。ご覧のようにドアノブや鍵穴もあるのだけど、塗料の効果でほとんど見えなくなります。

そしてプリントアウトした表札と、クリアパーツで作ったドアスコープを取り付けると、これらが夜空に浮かんでいるような効果が出ます。

最後はこうやって、世界各国の紛争や戦争の記事の切り抜きをベースに配置したのですが、何かちょっと違う。
ということで切り抜きをすべて外して、影を生かすことにしました。
<完成画像>



この作品ですが、メッセージ性のあるアートとしてはありかな。
、でもやっぱり一般的なジオラマ作品ではない。
「いいね」って言われることを期待するなら、テーマとしてノスタルジックあるいはファンタジックな世界を表現するのが王道なんだけど、そこからすぐに外れてしまうところは自分らしいかな。
2025.11
camera: Panasonic DMC-GX8 M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm / graphic tool: SILKYPIX
Developer Studio Pro.7 + GIMP 3.0
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