eye4工房番外編

BC1025



<縄文時代後期のジオラマ>

 縄文時代後期の祭祀の様子を再現したジオラマが完成しました。
 占いや呪術によって自らの運命を変えられると信じていた時代の1シーンですが、あくまでも自分のイメージで制作しているので、必ずしも正しい世界とは
言えません。今は知ることもできない縄文時代後期の祭祀の様子なので、むしろ仮説として具体化されたものとお考え下さい。



 時代はBC1025年、今からちょうど3000年前の秋、集落の人々が祭祀の行われるストーンサークルのある広場に集まっている。ジオラマのスケールは1/24、
ベースサイズは30cm×30cmです。
 正面にある球体は「月」をイメージしてつくったものです。
 当時、様々なものに神が宿ると考えられていたと考えられますが、太陽や月などの天体も間違いなくその一つだったでしょう。



 実りの秋を迎えて神に感謝の祈りを捧げる。
 神官の足下にはお供え物が並べられています。そしてその少し先にあるロープは、神域と現世の境界線を表しています。



 月が昇り行く今、神官が人々の気持ちを伝えるため、フクロウを使いとして送り出そうとしている。
 豊かな実りに感謝し、これからもこの村に不幸が訪れませんように・・・。収穫物を添えて神に祈る。





<ジオラマの構想>
 ジオラマのアイディアっていうのは、もともとその分野に興味があって、ものすごくつくりたいシーンがあるというのならともかく、どちらかというと日常生活のなかで
ふと思いつくということの方が、むしろ多いかもしれません。
 きっかけはいろいろ、たとえば100均に行ったとき、お散歩や旅行で面白いものを見つけたとき、テレビを見ているときなどで、急にその景色とストックしていたフィギュアが
結びつく。



 さてこちら、古代ギリシャの戦いの女神アテナを模したフィギュアです。ネット通販のサイトでは高さ75mmというから、多分1/24スケール、実に細かなところまで
プリントされていて、これで976円なら買いだと思いました。(TEMU)

 ところが入手してすぐにこれが「困ったちゃん」であることに気付いた。
 まずは高さ75mmというのは台座を含めた高さで、フィギュアそのものは59mm、だからスケールとしては1/27ぐらい、大きさが違い過ぎて他のフィギュアと組み合わせ
られない。(小柄の女性の1/24という言い訳はできるが)
 あとは何が何でも一体成型することにこだわったのか、どう考えても筆の入らないところがある。右足はむき出しだけど、その裏側と左足はワンピースの裾が邪魔で、
このままでは塗り分けが不可能です。
 ヘアーがとても細かく再現されていますが、これを固定するランナーが頬や額から出ていてこれを削り取るのが厄介です。しかもこのままだと目を塗装することもできない。




 商品説明にある、標準的な塗装を施した状態です。
 3Dデータに色を付けるのは簡単だろうけど、この見本通りに実物を仕上げるのは無理でしょう。最初の結論としては、これをいずれブロンズ像として仕上げることでした。
これならスケールは関係ないし、不要な台座を取らなくて済む。しかも単色なので足や顔の塗り分けいらない。

 そんなとき十日町に遊びに行ってきました。そこの歴史博物館で見たのは国宝の火焔型土器と縄文時代の人々の生活を再現した風景でした。縄文時代というのはとても
豊かな時代であることは、近年になってようやくわかってきたこと。今の日本の原点がここにあると言っても良いでしょう。

 このとき思いついたのは、このフィギュアを縄文時代の祭事のシーンで登場させられないかということです。
 当時の女性の身長は150cmほどだったので、スケールとしても1/24に見合います。



 縄文時代の後期というと、あちこちでストーンサークルがつくられていた時代なので、こんな感じでまとめてはどうかとスケッチしてみました。
 ジオラマのアイディアって、ちょっとしたきっかけがあると、あとはどんどん進んでゆく。縄文時代をテーマにしたこの作品の仮題は「BC1026」、今からちょうど3000年前を
テーマにする。ちなみにBC1025でないのは西暦において紀元0年は存在しないからです。

 実はこの時代、一つの転換期を迎える時期でもある。
 縄文は豊かだった時代ではあるけれど、この時期から世界は少しずつ寒冷化がすすんでいった。それとともに生きてゆくための人々の苦労も増えていった。
 この時期に稲作が伝わってきたのは良いのだけど、その結果として土地を所有し、その権利を主張する必要が出てきた。そして金属という、それまでの石と木の時代には
考えられないほど強力な武器を得て、人々はまた一つ大きな問題を抱えることになる。
 現在の不幸はこの時代から始まったと言えるかもしれない。そして不幸が多くなるほど祈りの持つ意味も重くなります。

1  主役となる新刊のフィギュアの製作にとりかかり
 ます。まずは台座を外しメイクから入ります。

 このままでは顔の細かな部分は塗ることができないので、いったん首部分で切断し、胴体と頭は別々に仕上げることにしました。
 Mr.カラーのNo.111を基本色として塗った後、人間用のチークを使い、模型用の細めの綿棒を使い色をつけてゆきます。1回ではうっすらと色がのるだけなので、何度と
なく GX113 を吹き付けて色を重ねてゆきます。
 さて次は目や口に色を置きたいところですが、顔にかぶるようにヘアーが被さっていて塗ることができない。(A) そこでまずはこれをいったん切り取ってしまう。
 あと気になったのはトサカのように見える戦闘帽の飾りです。(B) いかにも古代ギリシャの戦闘帽そのものなので、何か別のものに替えたい。


 チークによる着色が終わったところで、極細筆にMr.カラーをとって目や眉毛、唇といったところに最小限の色のせをします。
 今回は顔が極めて小さいし、戦闘帽やヘアーで隠れてしまうので、瞳を描くことはしませんでした。影を入れるように、薄くブラウンを入れただけですが、これで十分
でしょう。
 トサカのような戦闘帽の飾りは削り取って、戦国武将のカブトのように三日月形の飾りを取り付けてみました。これでちょっと日本的な感じにはなる。
 縄文時代の後期には青銅器はすでに伝来していたことが知られており、また国内の交易も盛んにおこなわれていたことが知られています。そういうところから防具や
バックルは青銅製であるとして、メタリックな青緑で着色、そのうえで部分的にゴールドのドライブラシを入れています。
 また当時は最も価値のある装飾品はヒスイだったと言われているので、首飾りはヒスイの色であるクリアーグリーンで着色しました。
 縄文時代の服は、編布(あんぎん)と呼ばれる植物の繊維から取った糸を編んだものからつくられていた。色はベージュで、このように真っ白なものさらにずっと後の
ことです。でもここは見た目優先で、あえて真っ白にしました。

 このフィギュア、何が何でも一体成型することにこだわったのか、どう考えても筆の入らないところがある。右足はむき出しだけど、その裏側と左足はワンピースの裾が
邪魔で、このままでは塗り分けが不可能です。(C)
 そしてどうしたかというと、裾の内側はやや暗い肌色で一様に塗って、サンダルの紐などは描かないことにしました。できないものはできない、ただそれだけ。



 1週間かけてとりあえずの完成です。
 古代ギリシャの感じはなくなったけど、画像を見て受ける印象は「無国籍」かな。あとはジオラマベースをつくりながら、さらなる演出を考えてゆくことにします。 




<ストーンサークルを作る>
 縄文時代の後期というと、あちこちでストーンサークルがつくられていた時代です。想像ではありますが、スケッチにあるような祈りの場を再現するつもりです。

   2 ストーンサークルをスチレンボードから作ります。
   

 ストーンサークルの石は、スチレンボードを六角柱に加工するところからスタートです。
 柱状節理に代表されるように、溶岩が固まってできた岩石には断面が六角形になりやすい特徴がある。


 下地塗料を調合します。モデリングペーストに同量のインスタントセメントを混ぜ、少量の水を加えながらダークブラウンに着色します。このとき、インスタントセメントに
混じっている大きな砂利は取り除いておきます。
 この下地塗料を塗ったら、更にインスタントセメントをまぶす。そして更に水を吹き付けて全体をなじませます。
 但しこのままだと剥離しやすいので、乾燥したところで上からMr.カラーのGX113を吹き付けて定着させます。作例では部分的にGX113に黄緑やブラウンなどを添加して
変化をつけてみました。



 こちらはフィギュアを固定するステージも同様に仕上げているところです。
 フィギュアのベースと台座の間にできたわずかな隙間にインスタントセメントを詰める。足下にもインスタントセメントをまぶす。こういう馴染ませる作業は大切です。




<ベースボード>
 次はベースボードを制作して、作ったパーツを配置します。

3 角材とスチレンボードで、ベースを作ります。小高
い丘の上をイメージしています。




 基本的な構造は角材を組み合わせて作り、その上に1cm厚のスチレンボードを接着して地面を作ります。
 中央部分は丸く残してその外側を薄く削ります。丘の上をイメージしているので、お皿を伏せたような、若干中央が高くなるような地形にします。あとはフィギュアを中心にして
ストーンサークルをつくる。
 一般にストーンサークルは天体の動きを意識してつくる。今回は正面を南として12方位にストーンを置きます。


   4 ストーンの上に置くものをつくります。
   

 大きいのは AliExpress から間違って送られてきたフィギュアで、最初はこれをボスキャラに見立てるつもりでしたが、印象が強すぎるので最終的には外しました。
 その周りにあるのは資料を参考にして、自分がエポキシパテからつくったもの。

 まずは暗めの茶色で全体を塗り、少しずつ赤みを増していって、素焼き感を出します。そして最後に軽くオレンジ系の塗料でドライブラシを行い、Mr.カラーのGX113と
No118を混合したものでつやを整えます。



 主役のフィギュアと背景のストーンサークルができあがったところです。ここまくると、完成時の状況もイメージできるようになるのですが、一方でここは少し変えた方が
良いなと思うところも出てきます。
 まず思ったのは、全体が整いすぎていて面白みがない、少しバランスを崩した方が良さそうだということ(A)、あとはストーンサークルが高すぎて、主役に視線を当てると
視界から外れて背景の役目を果たしていないということ(B)、それからセンターのボスキャラが存在として強すぎることです(C)。

 Bについてはストーンサークルを低くすることで調整、Cのボスキャラは他の石柱同様、一般的な素焼きの人物像に交代です。
 Aのバランスを崩すということですが、「儀式」を描いたジオラマとしては「素焼きの人物動画すべて中央を向き、石柱が正確な円の上にある。」という構図は動かせない
ところです。従って変化をつけるとすれば、主役の位置ということになるます。



 ストーンサークルの位置関係は方位によって決まってくるものなので、フィギュアの向いている方向に意味を持たせることにしました。
 ベースボードの中央にシートを貼り付けましたが、これはあとで剥がしてフィギュアを貼り付けるためのものです。このシートに合わせてフィギュアを置くと、西北西を向く。
 これは何を意図しているかというと、西北西は夏至の日の日没の方向で、「呪術師が太陽の消えていった方角に、使いとなるフクロウを向けている」という演出になります。

5 質感を整えながら、ベースボードの塗装を行い
 ます。

 地面の塗装です。いつもと同じように茶色に着色したモデリングペーストに、同量の「浴びっこサンド」を加えて下地塗料を作ります。そしてこれに水を加えて全体に塗ってゆく。
1回目はあっさり、半乾きで2回目はしっかりと厚塗りするのがこつです。
 このままでも一様な地面はできあがるのですが、変化をつけるためにこの下地塗料が乾く前にいろいろなものを撒いてゆきます。
 右の画像で最も色の薄い部分は、砂入りの「インスタントセメント」から砂をふるいで取り除いたものを撒きました。ややオレンジがかっているところは、「浴びっこサンド」を
追加で撒いたところです。



 あと色が足りないと思うときには、Mr.カラーを吹き付ければOKです。そして最後にGX113つや消しクリアーでトップコートしておきます。





<植物表現>
 このままでも十分に神秘的な世界になるのですが、ここから更に植物の表現を加えます。

6 パウダーやファイバーでコケや背の低い草などを
 表現してゆきます。

 まずは黄色から黄緑ぐらいのパウダーや短めのファイバーを4種類ぐらい混合して、最小限の植物表現を行います。混合するパウダー類のイメージは枯れ草に早春の
植物が混じった感じです。水で薄めた木工ボンドをベースボードに塗ってから、これを薄く撒いてゆきます。
 早春をイメージしたパウダーが乾燥したところで、今度は長めのファイバー(5mmから8mm)を更に2種類追加して、スタティックアプリケーターで撒いてゆく。
 このとき接着にはKATOの「くさはら糊」を使い、均一でなく、ややまばらな感じで塗ってゆくのがポイントです。



 保護のためのシートを外して、フィギュアを配置しました。これで儀式のステージができあがりました。



7 100均などで売られている植物を利用して、植物の
 密度を高めてゆきます。

 さて植物表現を追加するのですが、なかなか1/20から1/35あたりの適当な植物って少ないです。よく見かけるのはペーパークラフトのものや、金属をエッチングしたもの
ですが、少量ならともかくとして、大量に使おうとすると結構高くつきます。下手すると10cm四方の面積でも密集させると2千円以上かかる感じかな。
 自分がよく使うのは100均あたりで出回っている植物、それから最近では個人輸入できるものも増えてきて、TEMUあたりでは30本で数百円といったレベルです。
 もちろんスケール的には1/1のものなので、より小ぶりのものを選んで使うことになります。

 作業としては、まずは台所洗剤で全体を洗い、乾燥したところでバリを取り、軽くヒートガンを当てて形を修正します。
 そのままでは塗料が落ちやすいので、アサヒペンの高耐久ラッカースプレーを吹き付けて、下地を整えます。
 塗装はたとえばMr.カラーのロシアングリーンをベースにして、先端は少し黄色く、根元はオリーブを加えて、やや濁った色合いにします。彩度が高すぎるとおもちゃっぽく
なるので、最後に少量のフラットホワイトを加えた塗料で色の調整を行い、GX113つや消しクリアーでトップコートすれば作業は完了です。

 

 画像は植物を追加したところです。また少し見栄えは良くなったけど、もう少し植物は追加した方が良い感じですね。





<フィギュアの追加>

 現状、このジオラマが根本的にどういう場面なのかが分かりにくいと思った。そこで「祈りの場」であることを演出するために、更に登場人物を追加する
ことにします。



 そして選んだのは1/35スケールのマスターボックスのフィギュアです。戦場を慰問するアメリカンなお姉さんたちなのですが、使う場面がなくてずっと放置されてい
ました。この4人を縄文時代の子供たちに作り変えます。

8 1/35のマスターボックスのフィギュアを縄文の子供
 につくりかえます。

 ボディをあちこちで切断し、エポキシパテでつなぎ合わせて祈りのポーズに変更します。少々面倒でも、やはりキットをベースにした方が、断然作業時間は短くなる。
 途中からはタミヤパテが造形の中心になります。Mr.カラーの薄め液で伸ばしながら、少しずつ形を整えます。この時代の代表的な衣類は、植物繊維を編んで作った
袋状の衣類で首の部分に穴が開いている。衣類の表現はティッシュペーパーを1枚にはいで、貼り付けてゆくのが簡単です。
 あとはタミヤパテの盛りと磨きを繰り返して何度となく形を整える。
 そしてウエストに紐、足には草履のようなものを表現しました。



 まだまだ荒いのですが、とりあえず色を一通り塗って様子を見ることにしました。
 やっぱりフィギュアの改造は時間がかかる。







<さらなる演出の追加>
 ベースボードの方ですが、1/24というスケールで見たときには、やや植物表現が大雑把な感じがします。そこでもう少しリアルで繊細な植物を追加することにします。
 1/20から1/35あたりのスケールで精密な植物表現というと、金属のエッチングパーツでできたものや、レーザーカットされたペーパークラフトのものがあります。本来は
このような製品だけを使って表現すれば良いのでしょうが、30cm四方のサイズで密集した植物表現をすると、ゆうに万単位の予算が必要になります。
 そんなことはとてもできないので、自分は100均のものは背景として使い、目につきやすいところにのみ、このような製品を使うことにしています。



 今回は和巧のペーパークラフトを使います。1セット100円ぐらいからなので、比較的リーズナブルな製品です。

9 次はペーパークラフトの植物を追加します。形を
 整えるのがポイントになります


 レーザーカットされた無着色の製品なので、まずは着色をします。このとき刃の表と裏の差を意識して、葉緑素の少ない裏側を少し淡い色合いに着色するとリアルになる。
 葉が1枚1枚分離するタイプは、着色を終えた段階で丸いアーチをかけてゆく。いろいろな方法があるとは思いますが、簡単なのは手のひらの上で筆のお尻側でこしこしと、
こすることです。
 真ん中の画像は完成したエノコログサ(猫じゃらし)、穂の部分は付属していたパウダーを撒いて仕上げました。右側の画像は地面から直接、何枚もの長い葉が突き出している
タイプのもので、説明書には単なる雑草とある。
 ペーパークラフトの場合、経年変化が気になるところなので、自分の場合には最後にGX113つや消しクリアーでトップコートしています。



 これらの使い方としては、100均の植物の根元部分を隠すように使うと、大雑把に見えていた欠点が修正できます。
 また目立つところに配置すればアクセントになる。
 劇的な変化はないのだけど、全体が馴染んで、精密感・緻密間が増します。


   10 フィギュアに小物類を追加します。
   

 この時代の人々はとてもおしゃれだったようで、様々な装飾品を身につけていたらしい。
 そこでネックレスやアンクレット、ポシェット等々をエポキシパテや糸などを使ってつくり、身につけさせてみました。



 フィギュアを配置すると、やっと祭祀の場面らしくなってきました。但しこれがどの時代、どの場所でってことになると、まだまだ弱いかもしれない。
 あとは後方からの、このアングルがなかなか良い。ジオラマ製作で、いわゆる「決め」のアングルは、少なくとも3つぐらいはつくりたいところです。





 呪術師の視線の先には神域(神の世界)、縄文人側が現世、そしてその境界にストーンサークルがある。
 このままだと神域側と現世側の植物表現に差異がないので、神域側を植物でもう少し飾ってみることにします。
A 植物の密集するところですが、背後から見たときに密度が足りないところがある。
B このあたりに、地味なんだけど可憐な花などを追加したい。
C WAKOのペーパークラフトが少ない感じなので、その根元に植物を追加したい。

11 バランスを見て、更に植物表現の追加をします。
 使用するのは、これまでと同様のものです。

   植物の密度の足りないところを補います。(A 左画像) 背の低い紫の植物を追加しました。(B 中画像) これだと唐突に補色に近い色が入ってきたので、少し
「浮いてしまっている感じ」がします。
 ここで用意したのは黄色から緑のコースターフ類3種を雑ぜたものです。浮いてしまったものがあるときには「馴染ませる作業」します。具体的にはその境界線を不明確
にするという作業になります。ぼかしたいと思ったところに、水で少し薄めた木工ボンドを筆で置き、そこにこの混合したコースターフを撒く。これだけで簡単に馴染んでくれる。
(C 右画像)



 植物表現はこれで良い。あとはこの視線の先にあるはず「神」、そして祈りの場にふさわしい演出を加えたら完成かな。もちろん縄文時代の儀式など見たこともないし、
調べようもないのだけど、一つの解釈としてこの場面が成立したら良いと思う。



12 エポキシパテなどを使って、明かり取りのかまどを
 つくります。

 場面としては、神域に向かって神官がフクロウを使いとして送り出そうとしているところです。
 祈りの場面としてはまだ少し演出が足りない感じがするので、少しばかり小物を用意することにしました。 エポキシパテで作ってみたのは、小さなかまどです(上)。
もちろんこれだけでは明かりをとることはできないので、透明ランナーを砕いたものに着色して、燃えている木(左)、墨になった木(右)、そして天然の木材(下)を用意
してみた。
 これらを組み合わせて、かまどの中で木が燃えている感じに組み上げてみました。最後に少量の綿を取り付けて、煙が上がっている感じにします。

13 収穫物等を自作して、神様へのお供え物をつくり
 ます。

 次に制作したのはお供え物です。基本的にはエポキシパテで整形し、Mr.カラーで着色する。但しこれだけだと、微妙なニュアンスなどが出ないので、少量のアクリル
絵の具をパーマネントマットバーニッシュで溶いて薄く塗ってゆきます。パーマネントマットバーニッシュはとても便利なメディウムで、着色の他にも表面保護のコーティング剤、
あるいは接着剤としても使うことができます。右の画像は天然の木の皮に染みこませて、経年変化でバラバラにならないようにしているところです。



 この木の皮にお供え物を並べてみました。
 これで大きさは 2cm×4cm、これだけ作るのに3日かかった。



 ジオラマに並べる。
 「神に思いが伝わりますように」そんな感じです。



14 発泡スチロールの球体を使って月を作ります。
 下地はモデリングペーストで調えます。

 ジオラマとしてはすでに90%以上が完成し、あとは神の存在を示すのみとなりました。
 前方に置く予定の「神」を作り始めました。直径10cmの発泡スチロールの表面に、モデリングペーストを塗り込んで、目立つ凹凸を消してゆきます。
 乾燥したところで、全体にアクリル絵の具で着色してゆきます。作ろうとしているのは月、月や星に願いをするという習慣はどの民族にもあって、古くから信仰や占いの
対象でした。人類はつい最近まで、戦いの際には占星術で、その時期や方法などを選んでいたという。



 こちらはスーパームーンを自分のカメラで撮影したもの、これを参考にして模様を描いてゆきます。
 パーマネントマットバーニッシュにアクリル絵の具を混ぜて、少しずつ塗り重ねていった結果が右画像で、リアルとまではゆきませんが、雰囲気は出ていると思う。

 あとこれを作った限りは呪術師の視線の先に置くことになる。こちらは当初のプランからの予定変更ですが、当然の成り行きというものでしょう。



 この月はジオラマの前方に「浮かせる」つもりです。方法はいろいろあるけれど、結果として最も簡便な透明プラ板で台座を作ることにしました。0.2mm厚の透明プラ板で
直径2.5cmのパイプを作り、その上に月を乗せる。透明で薄いため、これなら存在感が小さい。
 ジオラマベースにも少々手を加えます。たこ糸を加工してしめ縄をつくります。これをストーンサークルに渡せば、神域と現世の境界になります。



 神域との境界についていろいろ調べたけど、鳥居という構造物が確立したのは平安時代のこと。その鳥居の元になったのが、一説には今でも東南アジアなどに見られる
「縄」の境界だという。今でもしめ縄は神社に見られるし、お正月には玄関ににも飾られる。おそらくは神域と現世の境界、あるいは神の出入りする場所として考えられている
のだと思う。



 さて作品としてはこれで良しなんだけど、やはり夜間のシーンを普通にこうして見てしまうとリアルでない。
 残念ながらこうなることはある程度予想はしていたのですが、「神秘性」のようなものはやはり感じられない。ということで、作品としての完成はジオラマそのものでなく、
画像として撮影したものとすることにしました。





<完成画像>

 部屋の天井には直径30cmの円形のLED照明があり、これを月に見立てて撮影します。






 縄文時代の宗教観というのは、今ではもうそれを詳細に知ることもできないのですが、季節の変化や星の動き、生と死、ありとあらゆる自然界の現象が、神の定めた約束事に
支配されていると考えていたと思われます。
 この時代の人類の平均寿命がわずか15年、集落の大多数は子供であったという。
 その短いサイクルのなかで、知識や技術を伝承、発展させてきた我々の祖先は、実にたくましく生き続けてきたと思うし、また何より幸運に恵まれた存在であったに違いない。



 しかしこの時代はすべてがうまく回っているとは言えなかった。
 縄文時代の後期というと、稲作が日本に伝わってきた時代です。それによって安定した食料の確保ができるようになった一方で、「土地を所有する」ということが必要不可欠に
なった。
 自らの土地を守るために人々は武装し、国を作って組織的に防御し、あるいは逆に生きるために侵略行為を行うようになっていった。その後、青銅器や鉄器のほか、様々な
武器が伝来することで、さらに戦いは激しくなって行く。
 縄文時代の後期は人々の生活が豊かになってゆく一方で、今も人類が克服できない、様々な問題が噴出する転機の時代だったと自分は考えています。



2026.01
camera: Panasonic DMC-GX8 M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm / graphic tool: SILKYPIX Developer Studio Pro.7 + GIMP 3.0


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