金谷から門出
大井川鐵道沿線の旅
2025.01.02
少し遅くなりましたが、お正月休みのときの旅行記です。
お正月休みというのは、お酒飲んで寝てを繰り返すと健康に良くないので、少なくとも1月2日にはどこかに行って、長い距離を歩くことにしています。
今回やってきたのは、旧東海道の宿場町だった金谷というところです。今はそれほどの賑わいもない地方の町ですが、お隣の島田宿との間には
大井川が流れ、いわゆる「川止め」によってたくさんの旅人が滞留を余儀なくされたという逸話の残るところです。
そのほかの名物と言えばお茶と、あともう一つが大井川鐵道でしょう。
1.02 FRI 天気:晴れ
9:00
JR東海道線で大井川を渡って金谷の駅に向かいます。昔は「越すに越されぬ大井川」ですが、今は列車で1分とかかりません。
この橋梁自体が明治時代のものだと聞いたことがある。すでに歴史遺産の範疇にある感じだね。
今日は金谷駅から大井川鐵道に沿って歩き、できれば新駅である「門出駅」まで歩きたいと考えています。
駅を降りると正面に赤い幟が何本も立っていることに気づく。
こちらは地域の人々に「姫宮さん」と呼ばれ親しまれる神社で、1200年頃に創建された巌室神社です。背後の森は静岡県選定「ふるさとの自然百選」の一つに
指定されており、なかなかに神秘的です。そしてそこには高さ約6m、幅約8mの大きな磐座があり、そのくぼみに小さな祠とお稲荷さんがいる。こちらは巌室稲荷
神社といって、本当に何か出てきそうな気がします。(上の画像)
こちらは厳室神社鎮火祭というお祭りが有名だそうで、江戸時代中期には金谷宿内で度重なる大火が相次ぎ、当時の神官が迦具土神(かぐつちのかみ)の怒りを
鎮めようとしたことからはじめられたと伝えられています。
9:30
こちらは遠州観音霊場 利生寺です。歴史は古く、行基作と伝わる観音菩薩尊像を奉祀したことから始まったとされています。(740年)
境内には仏像やお地蔵様だけでなく、様々な彫像や陶器の七福神、果てはおもちゃの飛行機なんかもレイアウトされていて、さながらお寺そのものがジオラマ
みたいな感じです。
何か意味あってのこととは思いますが面白い。
「笑う門には福来たる」
ほかにも立派なお寺や神社はあるけれど、なんとなくこのお寺さんには惹かれるものがある。
巌室神社から山に向かって100mのところに水源のある川(googlemapに名前なし)があり、今その下流に向かって歩いています。
ご覧のように、ちょっとした風情がある旧東海道の裏通りです。表通りには本陣や脇本陣跡の立て看板はあるけど、歩くのならこちらが良いです。
旧東海道に合流します。秋葉神社がそこかしこにあるという感じです。これだけ秋葉神社があるということは、何度も大火や戦火で町自体の景色が変わってきたと
いうことでしょう。
9:50
こちらはレトロな風貌の新金谷駅(大井川鐵道)です。近くにはもう一つ駅があって、そちらは金谷駅(JR東海と大井川鐵道)という。大井川鐵道というと最初にSLを
復活させた私鉄で有名ですが、その拠点になるのはこちらの新金谷駅になります。
やっぱり金谷を訪れたら、ぜひこの駅には立ち寄りたい。
駅前にはプラザロコという建物があって、SLやトーマス号の切符、お弁当屋お土産などを販売しています。そしてちょっとしたミュージアムも併設されていて昔の車両
などを見ることができます。
画像はSLいずもというドイツ製の機関車で、もともとは七尾のセメント工場で活躍していました。こちらは運転席に入ることもできます。なかなかにフォトジェニックな
空間です。
そのほか直江津のステンレス工場で活躍していた1275という機関車や、Cスロフ1形という客車も展示されています。
そして一番奥には懐かしい昭和の時代の駅舎が再現されています。
映画のポスターやほうろう看板で飾られ、外には電話ボックスもある。レトロな駅前の景色が楽しい。
そのほかにも鉄道のレイアウトやジオラマなどもあって楽しめる。休憩場所としておすすめです。
そして何より入場無料というのがありがたい。
この新金谷駅は大井川鐵道の拠点で、整備工場なども併設されています。そしてその昔、全国で走っていた機関車や客車がここに集められています。
こちらはE34、国鉄にこんな小型の電気機関車があったかなと思ったら、もともとは西武鉄道の車両で、それをブルートレイン風に塗り直したらしいです。
今も現役で活躍中です。
車庫前にある転車台です。
SLには必須の設備で、運が良ければここにSLが乗っかっているのですが、今日はお休み。
そう思っていたところに、振り返るとカメラを手にした人たちが集まり始めていました。
そしてほどなくC108がやってきた。
自分は別に気合いの入った鉄道ファンでもないので、下調べなしに金谷にやってきたのだけど、これは運が良かった。
大井川本線は私鉄として最初にSLを走らせた鉄道会社だけど、今はSLを走らせるところも増えてきました。更には2022年の台風の被害で今も一部区間が
不通になったままです。いろいろと大変だろうけど頑張って欲しいなと思いました。
10:15
そして旧宿場町のはずれに大井川鐵道の「新金谷駅」はあります。再び東に向かって歩くと「旧東海道 金谷宿 川越し場跡」があります。
ほんの小さな公園と石碑、そして説明書きの看板などがあります。でも残念ながら当時の面影らしきものはほとんど残っていませんでした。対岸の島田宿側には
川越遺跡として当時の町並みが再現されていたり、博物館があったりするのだけど、こちらにはそういうものは一切ありません。
土手を上ると、どんと大井川の河原がひろがる、幅1km近くあってなかなかに爽快。
何もない分、景色はむしろこちらの方が近いかも知れないと思いました。。
「旧東海道 金谷宿 川越し場跡」を見学してからは、再び「新金谷駅」から上流に向かって歩き始めます。
大井川鐵道を代表する景色というと、やはり大井川そのものと、沿線にひろがるお茶畑かな。
上の画像で茶畑の向こうには大井川鐵道の架線柱が見えるのだけど、あらためて見るとその架線柱には今でも木製のものが使われていたりします。強度的には
大丈夫なんだろうけど、今となってはとても珍しい感じがしました。
「代官町駅」と「日切駅」には立ち寄らずに、そのまま通過です。
10:55
こちらは「日切駅」に近いところにある日限地蔵尊です。お正月ということもあって露店も立ち並び、とても賑わっていました。お参りの列についたら、先頭に出るまでに
15分ぐらいかかりました。
こちらでは「何日に」「何日までに」というふうに、日を限定してお願いするとその願いが叶うということなので、多幸と健康、そして目の前に迫った個展に向けて、準備が
順調にすすむことをお願いしてきました。
11:30
こちらはときどきニュースなどでも取り上げられる「合格駅」です。
もともとは「五和駅」という名前だったのですが、「五和」の語呂が「合格」に似ているところから、合格祈願に来る人がいて、こういうことになったみたい。以前は
受験シーズンだけ駅名が「合格駅」に変わっていたのですが、最近になって通年で「合格駅」の名前が用いられるようになりました。
駅舎のなかには合格不動尊が祭られていて、合格祈願のお札やお守りもあります。
ちなみに元々の駅名は、1590年に河川改修によって誕生した志戸呂五箇村が由来となっていて、1889年には更に周辺の6村合併して五和村が誕生したことから
付けられた名称です。やはり93年間使われてきた歴史ある「五和駅」の名称が、話題作りのために簡単に変えても良いものかどうか、議論はあったと思う。自分も
以前だったら「人気が出ればよいのか」と否定的な意見を書いていたかも知れない。
でも今ではこれだけ「命名権」が一般化してきて、そして何より鉄道会社が存続し、また過疎地域の活性化が重要になっている世の中では、そういうきれい事ばかり
言ってられないのが本当のところだと思います。
そういうこともあってか、駅舎の中には 「合格駅」は、以前「五和駅」と言いました というタイトルに続く駅名に関する説明があります。こういうけじめって、とっても
大切なことだと思う。
11:55
距離としては「合格駅」から1kmも離れていないところに、このような道をまたぐ巨大な商業施設があります。こちらは「KADODE OOIGAWA」といって、島田市、
JA大井川、大井川鐵道、中日本高速道路の4者が共同して整備をすすめ、完成したばかりの施設です。
なかには農産物直売所やレストランがあって、広大な駐車場も用意されています。簡単にいうと、近代的な一回り大きな道の駅だと言えば、最もイメージに近い
のではないかと思う。
静岡というとプラモデル、西館の2Fには展示スペースもあって「ジオラマ二人展」が開催されていました。
陸橋を越えた東館には蒸気機関車C11が展示されています。こちら側には6年前に新規開業した「門出駅」があって、名産品の販売や喫茶コーナー、大井川鐵道
沿いの観光地点の案内絵地図などがあります。
ちなみにC11の前にはたくさんの絵馬が吊り下げられていますが、こちらは名産品コーナーで販売されている「合格ー門出」の硬券を模した絵馬です。
日限地蔵尊の最寄り駅が「日切駅」、合格不動尊を奉る「合格駅」、そして次のスタートとなる「門出駅」と、この3つで合格祈願スポットとしてつながるというわけ。
我が家で購入したお土産です。まずはこの「石炭あられ」、見た目は石炭そのもの。食べたら苦いかと思ったけど、実に香ばしくでおいしい。あられとしての完成度は実に高い。
あとはSLソフトという漆黒というチョコレート味の真っ黒なソフトクリームもあります。あっさりとしていて食べやすい。
そうこうしているうちに、再びSLが目の前を走ってゆく。1日に2度というのは運が良いかも知れない。
さてこれで大井川鐵道沿線のお散歩旅は、ここ門出駅で無事ゴールです。ここから金谷方面には大井川鐵道に乗って戻るつもりです。車でやってきてSLの写真を撮って
帰るだけというのでは、やはり仁義に反するというものでしょう。楽しませていただいたお礼に鐵道は利用しなくちゃいけません。
ここで上の画像をご覧いただきたい。門出駅のプラットホームに立ったのが、画像右上の時計にあるように12:23です。で、次の金谷方面行きの電車が12:33、日中は4時間
の間隔なので、僅か10分待ちというのは、もう奇跡のような話です。 (もちろん時刻表のようなものは検索していない)
ネットを眺めると、特に門出駅についてはネガティブなことが結構書かれている。
駅とは名ばかりで、プラットフォームのある単なる観光物産施設、合格駅から門出駅の験担ぎで受験生受けを狙っているだけ、みたいな感じです。
確かにそう見えても仕方ない。でももうきれい事だけでは地方は成り立たなくなりつつあるのも事実だと思う。遠くから俯瞰しているだけでは先にすすみません。
毎年地方の人口10万レベルの都市が5つぐらい消えて、その代わりに東京一極集中がすすんでゆくという図式がずっと続いている。でもそれでは日本がだめになるなんて
ことを言っている政治家は少ないし、次の選挙の争点にはおそらくならない。
2026.01
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